涼しい風景が本郷にあったのだ。

「金魚坂の金魚たち」
小石川から本郷に抜けようと思ってテクテクと菊坂を昇っていくと、金魚坂の看板が本郷通りの手前で左側に見える。金魚坂は名前の通り金魚を扱っているショップだが、珈琲や食事の出来るカフェでもある。
この日の気温は35度を超える猛暑だったので、たまらず金魚を眺めて涼をとることにした。

「気持ち良さそうに泳ぐ金魚」
しばらく金魚を眺めていると、恰幅の良い紳士が入ってきて「ランチュウ」について、店員にいろいろ質問し始めた。盛んに可愛いを連発しているので、言葉と紳士のイメージにずれがあって面白い。僕も散歩の途中だったので、聞き耳を立てながら彼らの会話を楽しんでしまった。
今いる二匹の金魚では寂しいので、もう一匹飼いたいらしい。彼はとにかく可愛いのが欲しいようだ。
そうこうしているうちに汗も引いてきたので、店を出る事にした。彼はまだどの金魚にするのか決めかねていたが、真っ赤なランチュウから目が離れない。おそらくそれにするに違いなかった。今夜の彼の部屋は涼しい風景で過ごせるだろう。
暑い夏に金魚は涼しい風景だ。気持ちで乗り切るのも一つの手ではあるな。











「慈眼院」











